フェラーリ・SF16-H

フェラーリ・SF16-H
セバスチャン・ベッテルがドライブするSF16-H (2016年マレーシアGP)
カテゴリー F1
コンストラクター フェラーリ
デザイナー シモーネ・レスタ
先代 フェラーリ・SF15-T
後継 フェラーリ・SF70H
主要諸元
エンジン フェラーリ 061
1.6L V6ターボ
タイヤ ピレリ
主要成績
チーム スクーデリア・フェラーリ
ドライバー ドイツの旗 セバスチャン・ベッテル
フィンランドの旗 キミ・ライコネン
出走時期 2016年
通算獲得ポイント 398
初戦 2016年オーストラリアGP
最終戦 2016年アブダビGP
出走優勝表彰台ポールFラップ
21(41台)01104
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フェラーリ SF16-H (Ferrari SF16-H) は、スクーデリア・フェラーリ2016年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーである。

概要

2月19日にフェラーリの公式サイトにて初披露された。車名の"H"はハイブリッドHybrid)を意味する[1]

フロントサスペンションは4年前のF2012以来フェラーリの特徴だったプルロッド式を止め、定番のプッシュロッド式に戻された。フロントノーズは前年のSF15-Tよりも短く平坦で、先端に突起のついたショートノーズを採用。また、コクピット廻りからエンジンカバーにかけて大幅に白のスペースが加えられ、1970年代のF1を席巻した312Tを彷彿とさせるカラーリングとなった。

パワーユニット (PU) の構成も変更された。MGU-K(運動エネルギー回生装置)はエンジン後部からエンジン左側面へ移設。エンジンのVバンク内に置かれていたインタークーラーは2つに分けられた(可変吸気機構を採用したため)。タービンで生じた高温の圧搾空気はまずエンジン後方の空冷インタークーラーを通ったあと、エンジン前部の水冷インタークーラーへ送られる[2]。しかし、この方式は2016年限りで、翌年はまた単一インタークーラーに戻る。

また、フリー走行や合同テストでは、国際自動車連盟 (FIA) が試作したHalo(頭部保護部品)を装備してテスト走行を行った。

2016年シーズン

シーズン当初はメルセデスにもっとも対抗できると期待されていた。開幕戦オーストラリアGPでは、2人が前年のハンガリーGPの再現のようなスタートを見せ1-2体制でレースを進めていたが、クラッシュによるレッドフラッグにより、レース再開後の戦略でメルセデス勢に逆転を許した。メルセデス勢がオープニングラップで同士討ちでリタイアしたスペインGPマックス・フェルスタッペンレッドブル)に優勝をさらわれてからはレッドブルにも遅れを取るようになり、イギリスGP以降は表彰台からも遠のくようになる。加えてドイツGP直前の7月27日にテクニカルディレクターのジェイムズ・アリソンがチームから離脱し[3]、状況はさらに悪化した。

地元イタリアGPを前にセルジオ・マルキオンネ会長は2016年のマシン開発に「失敗」したと認めた[4]

結局、ファステストラップこそ4回記録したものの優勝とポールポジションは記録できず、コンストラクターズランキング3位という期待外れのシーズンとなってしまった。不振の原因としてはアリソンの離脱によりマシンのコンセプトを完璧に理解した人物が不在となり、開発の方向性を見失ったことや、そもそもマシンのデザイン自体がウィリアムズやマクラーレンに似たショートノーズやプッシュロッドのフロントサスペンションなどオーソドックスすぎて長所と言える点が無く、特に空力において平凡すぎたことが挙げられている[5]

スペック

[6]

シャーシ

エンジン

  • エンジン名:フェラーリ 061
  • 気筒数・角度:V型6気筒・90度
  • 排気量:1,600cc
  • 最高回転数:15,000rpm(レギュレーションで規定)
  • シリンダーブロック:砂型鋳造アルミニウム
  • ターボ:シングル
  • バルブ数:24
  • バルブ駆動:圧搾空気式
  • 燃料シェル V-Power
  • 潤滑油:シェル Helix Ultra

ERS システム

  • バッテリー出力:4MJ(1周あたり)
  • MGU-K 出力:120kW
  • MGU-K 最高回転数:50,000 rpm
  • MGU-H 最高回転数:125,000 rpm

記録

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 ポイント ランキング
AUS
オーストラリアの旗
BHR
バーレーンの旗
CHN
中華人民共和国の旗
RUS
ロシアの旗
ESP
スペインの旗
MON
モナコの旗
CAN
カナダの旗
EUR
アゼルバイジャンの旗
AUT
オーストリアの旗
GBR
イギリスの旗
HUN
ハンガリーの旗
GER
ドイツの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
SIN
シンガポールの旗
MAL
マレーシアの旗
JPN
日本の旗
USA
アメリカ合衆国の旗
MEX
メキシコの旗
BRA
ブラジルの旗
ABU
アラブ首長国連邦の旗
2016 5 ドイツの旗 ベッテル 3 DNS 2 Ret 3 4 2 2 Ret 9 4 5 6 3 5 Ret 4 4 5 5 3 398 3位
7 フィンランドの旗 ライコネン Ret 2 5 3 2 Ret 6 4 3 5 6 6 9 4 4 4 5 Ret 6 Ret 6

脚注

ウィキメディア・コモンズには、フェラーリ・SF16-Hに関連するカテゴリがあります。
[脚注の使い方]
  1. ^ “Ferrari present the SF16-H - in red and white ”. Formula1.com (2016年2月19日). 2019年10月4日閲覧。
  2. ^ “F1技術解説 フェラーリPU開発の軌跡(2):単一のインタークーラーに回帰しさらなる進化”. AUTOSPORT Web (2019年1月6日). 2019年10月4日閲覧。
  3. ^ “GP topic:アリソン離脱で、現実味を帯びる「ベッテルのフェラーリ離脱説」”. AUTOSPORTweb. (2016年7月27日). http://www.as-web.jp/f1/33556 2016年10月31日閲覧。 
  4. ^ “フェラーリ会長 「2016年のF1マシン開発は“失敗”」”. F1-Gate.com. (2016年9月4日). http://f1-gate.com/ferrari/f1_32690.html 2016年10月9日閲覧。 
  5. ^ フェラーリ「今季の戦いをあきらめるつもりはない」TOPNEWS 2016年8月24日
  6. ^ "SF-16H". Scuderia Ferrari 2016年8月2日閲覧。
イタリアの旗 スクーデリア・フェラーリ
チーム首脳
チームスタッフ
  • イタリアの旗 ディエゴ・イオベルノ(英語版) (スポーティングディレクター)
  • イタリアの旗 エンリコ・カルディール(英語版) (車体開発責任者)
  • フランスの旗 ロイック・ビゴワ (チーフエアロダイナミシスト)
  • イギリスの旗 ラビン・ジェイン (ストラテジーディレクター)
  • イギリスの旗 ジョック・クリア (FDAコーチ)
  • 南アフリカ共和国の旗 ロリー・バーン (開発アドバイザー)
  • スペインの旗 イニャキ・ルエダ(英語版) (前ストラテジーディレクター)
F1ドライバー
F1車両
主なスポンサー
関連組織
※役職等は2023年3月時点。
  • 過去のチーム関係者
F1チーム関係者
創設者
主なチーム首脳
主なスタッフ
主なF1ドライバー
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
※年代と順序はフェラーリで初出走した時期に基づく。 ※フェラーリにおいて優勝したドライバーを中心に記載。太字はフェラーリにおいてドライバーズワールドチャンピオンを獲得。斜体はフェラーリにおいて優勝がないものの特筆されるドライバー。
  • スポーツカーレース
  • Template:スクーデリア・フェラーリ (スポーツカーレース) を参照。