ニック・ワース

Nick Wirth

ニック・ワース
ニック・ワース(2011年2月7日)
生誕 ニコラス・ジョン・ピーター・ワース
(1966-03-26) 1966年3月26日(58歳)
国籍 イギリス
雇用者 ワース・リサーチ
著名な実績 マーチ風洞, シムテック
ヴァージン・レーシング
ワース・リサーチ
テンプレートを表示

ニコラス・ジョン・ピーター・"ニック"・ワース (Nicholas John Peter "Nick" Wirth, 1966年3月26日 - )は、イギリス出身の自動車エンジニアワース・リサーチ(英語版)社の創業者オーナーシムテックF1チームの元オーナーでもあり、マーチ・エンジニアリングの元空力技術者、ベネトン・フォーミュラ及びヴァージン・レーシングの元テクニカルディレクターでもあった[1]

履歴

学歴でのレコード

ワースは11歳の1977年から18歳の1984年にかけて、セブンオークス校(英語版)を経て、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン機械工学を学び、BSc(Hons)(優等理学士)を取得し、史上最若年で王立協会機械技術者協会(英語版)(IMechE)フェロー(FIMechE)を取得している[2]

マーチ・エンジニアリングのボスのロビン・ハードの子息のマーク・ハードと同学で、在学中からハード家に出入してハードを唸らせた。

マーチ

ワースはマーチ・エンジニアリングの空力技術者として自身のフォーミュラ1でのキャリアを開始し、1988年1989年レイトンハウス・マーチの881CG891等の空力概念及び概略設計、風洞モデル設計の責任者を務めた。

シムテック

1989年、マックス・モズレーと共同でシムテック・リサーチを設立。元々はサードパーティーのF1チーム向けに風洞設計やシャーシ製造等、フォーミュラ1カー製造の多くの分野に携わっていた。ワースはそれまでモズレーがチームオーナーを務めるマーチに雇用されていたが、シムテックの設立によりマーチから自立する形となった。

ワースは当初リジェ等のF1チームや、多くのフォーミュラ3000チームから研究開発を請け負い、モズレーの縁故で国際自動車スポーツ連盟(英語版)(FISA)からの仕事も多くこなした。1990年には、当時エンジンコンストラクターとして活動していたBMWのF1参戦計画に参画したが、程なくこの計画が頓挫した為、やむなく1991年ドイツツーリングカー選手権(DTM)にBMWが投入していたBMW・3シリーズの製作に携わる事となった。1992年、モズレーが国際自動車連盟 (FIA) 会長に就任したのを機に、彼が所有するシムテックの全株式を譲り受け、ワースがシムテックを単独で経営する事となる。同年、元々は1990年のBMWのF1マシンとして計画していた設計をアンドレア・モーダからの依頼により「アンドレア・モーダ・S921」として復活させ、1992年シーズンに参戦するも、チーム体制の問題によりS921は殆どまともにサーキットを周回する事も出来ないまま、オーナーのアンドレア・サセッティの逮捕によりチームはF1を追放されて消滅した。その後、ワースは1993年にスペインブラボF1(ドイツ語版)チームのマシン「S931」を開発したが[3]1993年シーズン開幕前にオーナーのジャン=フランソワ・モニエが急死した事により参戦計画が頓挫してしまい、ブラボ・S931[4]は日の目を見る事は無かった。

この年までの経過から、ワースは自らチームを運営しなければ自身が設計したマシンを十分な体制の下で走らせる事が出来ないと判断し、1993年にシムテック・グランプリを新たに設立、1993年10月から1995年6月まで、ワースはシムテック・グランプリの創業者兼オーナー兼テクニカルディレクターに就任、F1チームとしては1994年のF1世界選手権から参戦した[5]。シムテック・リサーチはチームの整備とマシン設計の双方を担当した。

しかし、シムテックは当初のシーズンからローランド・ラッツェンバーガーの事故死などの困難な状況や資金難に苦しみ、結局1995年の中途で破産。撤退を余儀なくされ、ワースも一時F1から離れる事となった。

ベネトン及びF1外での活動

翌年の1996年から1999年に掛けて、ワースはベネトン・フォーミュラのチーフデザイナーと役員を務めた。

1999年、ベネトンを去った後にワースはロボサイエンス社を設立し、ロボット犬(英語版)の「RS-01」を製作した。

2003年、ワース・リサーチ社を設立。

2006年、ワース・リサーチはFIAの依頼で、イタリアのカスマロ風洞施設[6]にて、2008年より使用される予定であったセンターライン・ダウンウォッシュ・ジェネレーティングウィング(CDG)の設計に関わった。

2007年、ワース・リサーチはアキュラ2009年シーズンよりアメリカン・ルマン・シリーズに投入予定のル・マン・プロトタイプ(LMP)に携わり、LMP1クラスのアキュラ・ARX-02を設計した。ワースはARX-02の設計にあたり、数値流体力学(CFD)を広範囲に使用した。

2014年には、フォーミュラEに参戦するアンドレッティ・オートスポーツと提携、同チームの技術サポートを行うことになった[7]

ヴァージン・レーシング

2009年、ワースはジョン・アルフレッド・ブース(英語版)マノーF1チーム2010年のF1世界選手権に参戦する為のマシンの設計を行い、同チームのテクニカルディレクターに就任。後にヴァージン・グループリチャード・ブランソンが同チームの冠スポンサーとなった事で、チームはヴァージン・レーシングに改称した。ワースが設計した2010年シーズンのマシン、ヴァージン・VR-01は、F1マシンで史上初めて風洞を全く用いず、数値流体力学(CFD)のみで設計・製造されたマシンであった[8]

ワースはヴァージンの2番目のF1マシン、MVR-02の設計も行うが、MVR-02はVR-01と比較しても顕著な性能向上が見られず、期待外れのものである事が判明した。2011年6月、ヴァージンはワースを解雇し、CFDのみに頼って設計を行う手法も放棄したと発表した[9]

脚注

  1. ^ http://www.virginracing.com/team/nick/
  2. ^ http://www.autofieldguide.com/articles/100101.html
  3. ^ Zeitungsnotiz vom 25. Februar 1993 (2014年6月17日閲覧)
  4. ^ Abbildung eines Modells des Bravo S931 (2014年6月17日閲覧)
  5. ^ “Heartland of Formula One”. The Independent (London). (1995年7月9日). http://www.independent.co.uk/sport/heartland-of-formula-one-1590598.html 
  6. ^ fondmetal.com フォンド・テック モータースポーツに関連する略歴
  7. ^ アンドレッティ・フォーミュラE、ワース・リサーチと提携 - F1-gate.com・2014年5月22日
  8. ^ http://www.racecar-engineering.com/news/cars/435225/wirth-research-breaks-new-ground.html
  9. ^ Straw, Edd (2011年6月1日). “Virgin parts company with Wirth”. autosport.com (Haymarket Publications). http://www.autosport.com/news/report.php/id/91924 2011年6月1日閲覧。 

外部リンク

  • Profile at grandprix.com
  • Profile on the Virgin Racing website
イギリスの旗 マーチ・エンジニアリング (Robin Herd Ltd.以降を含む)
創業者
車輛試作者
工場所有者
  • イギリスの旗 グラハム・コーカー(英語版)
広告塔
社外
外注関係者
エンジニア
1970年代
1980'継続
1980年代
1990'継続
1993- 94
風洞施設
名称(通称)
  • マーチウインドトンネル = コンテック・ウインドトンネル = ブラックリー・ウインドトンネル
設計(竣工)
  • イギリスの旗 ニック・ワース
    • 1988年
所在地住所
  • ブラックリー市街地の北部
  • コンポジット施設コンテックの敷地内
所有移転歴
F1マシン
  • Template:マーチを参照
F2マシン
  • 702(英語版)
  • 712(英語版)
  • 722(英語版)
  • 732(英語版)
  • 742(英語版)
  • 752(英語版)
  • 762
  • 772
  • 782(英語版)
  • 792
  • 802(英語版)
  • 812(英語版)
  • 822(英語版)
  • 832(英語版)
  • 842
  • 85J
  • 86J
F3000マシン
  • 85B(英語版)
  • 86B(英語版)
  • 87B(英語版)
  • 88B(英語版)
  • 89B
インディ・ライツマシン
  • 86A(英語版)
F5000マシン
  • 72A(英語版)
  • 73A(英語版)
  • 74A(英語版)
  • 75A(英語版)
  • 76A(英語版)
F3マシン
  • 693(英語版)
  • 703(英語版)
  • 713M(英語版)
  • 713S(英語版)
  • 723(英語版)
  • 733(英語版)
  • 743(英語版)
  • 753(英語版)
  • 763(英語版)
  • 773(英語版)
  • 783(英語版)
  • 793(英語版)
  • 803
  • 813
CARTマシン
  • 81C(英語版)
  • 82C(英語版)
  • 83C(英語版)
  • 84C(英語版)
  • 85C(英語版)
  • 86C(英語版)
  • 87C(英語版)
  • 88C(英語版)
  • 89C(英語版)
  • 89P(英語版)
  • 89CE(英語版)
  • 90P(英語版)
スポーツカー
  • 707(英語版)
  • 717(英語版)
  • 817(英語版)
  • 81P(英語版)
  • 827(英語版)
  • RC82(英語版)
  • 82G(英語版)
  • 83G
  • 832(英語版)
  • 847(英語版)
  • 84G(英語版)
  • 85G
  • 86G
  • 87G
  • R87E
  • R88C
  • 88G
グループ5, 6
  • 73S
  • 74S(英語版)
  • 75S(英語版)
  • 76S(英語版)
  • 77S(英語版)
スポーツ2000
  • 81S(英語版)
  • 82S(英語版)
  • 83S(英語版)
  • 84S(英語版)
イギリスの旗 マーチ(レイトンハウス)
創設者
主なチーム関係者
F1ドライバー
F1マシン
主なスポンサー
  • F1以外の車両
  • Template:マーチ・エンジニアリング を参照。
イギリスの旗 シムテック
創設者
シムテック・リサーチ
シムテック・グランプリ
  • イギリスの旗 ニック・ワース (創設者 / オーナー / テクニカルディレクター)
チーム関係者
主なドライバー
F1マシン
アンドレア・モーダ
ブラボF1
  • S931
シムテック
シャシー供給
主なスポンサー
イタリアの旗 フォンドテック (サブコンストラクター, 空力サービス)
設立創業者
設立関係者
主な関係者
風洞
イタリアの旗 カズマロ風洞


イタリアの旗 ボロニェーゼ風洞
  • イタリアの旗 サンタガータ・ボロニェーゼ風洞
イタリアの旗 Aerolab風洞
  • イタリアの旗 サンタガータ・ボロニェーゼ風洞
    • 同敷地内にダラーラの資本参加で
F1マシン/
空力担当者
イギリスの旗 ティレル
イギリスの旗 ジョーダン
イタリアの旗 ベネトン
フランスの旗 ルノー
イタリアの旗 ミナルディ
イギリスの旗 ジャガー
オーストリアの旗 レッドブル
イタリアの旗 トロ・ロッソ
日本の旗 トヨタ
オランダの旗 スパイカー
マレーシアの旗 ロータス
マレーシアの旗 ケータハム
イタリアの旗 ベネトン・フォーミュラ イギリスの旗
創設者
主なチーム関係者
主なドライバー
F1マシン
主なスポンサー
太字はベネトンにおいてドライバーズワールドチャンピオンを獲得。
イギリスの旗 ヴァージン・レーシング ロシアの旗
創設者
  • イギリスの旗 ジョン・アルフレッド・ブース(英語版)
歴代チーム関係者
歴代ドライバー
テスト/リザーブドライバー
F1マシン
チーム関連会社/プロジェクト
主な歴代スポンサー
  • Armin Racing Watches
  • CNBC
  • CSC
  • Kappa
  • LDC
  • Monroe
  • musicMagpie
  • ピレリ
  • Qnet
  • QUANTEL
  • Quick Group
  • RING Automotive
  • SMC University(英語版)
  • Soleco Green Energy
  • LDC
  • UST Global(英語版)
  • Bspoke Global Networks
  • Lincoln Electric(英語版)
  • NEXA AUTOCOLOR
  • パーキンエルマー
  • Riverside Truck Rental
  • SERVOTEST