アントニオ・ディ・ポルチア・エ・ブルニェーラ伯爵の肖像

『アントニオ・ディ・ポルチア・エ・ブルニェーラ伯爵の肖像』
イタリア語: Ritratto del conte Antonio di Porcia e Brugnera
英語: Portrait of Count Antonio Porcia and Brugnera
作者ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
製作年1535–1540年ごろ
種類キャンバス上に油彩
寸法115 cm × 93 cm (45 in × 37 in)
所蔵ブレラ美術館ミラノ

アントニオ・ディ・ポルチア・エ・ブルニェーラ伯爵の肖像』(アントニオ・ディ・ポルチア・エ・ブルニェーラはくしゃくのしょうぞう、: Ritratto del conte Antonio di Porcia e Brugnera: ortrait of Count Antonio Porcia and Brugnera)は、イタリア盛期ルネサンスヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノ・ヴェチェッリオが1535-1540年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である[1][2]。作品は本来、ポルデノーネ近郊のポルチア城にあったが、ミラノのアルフォンソ・ポルチアの居宅に移された[1]。エウジェニア・リッタ・ヴィスコンティ・アレーゼ (Eugenia Litta Visconti Arese) 伯爵夫人画家が絵画を相続した後、1892年にミラノのブレラ美術館に寄贈された[1][2][3]

作品

本作は、ティツィアーノが肖像画家として円熟期にあった時代に描かれた[1]。若かった時期に画家は人物の理想的な側面に焦点を当てていたが、円熟期には人物の社会的地位を理解し、本作でも人物のカラー、剣、黒い衣服に焦点を当てている[1]

描かれているのは、1508年ごろに生まれたフリウリ出身のアントニオ・ディ・ポルチアである[1]。彼はポルデノーネ近郊のポルチア城の城主であった[4]。黒い衣服を纏い、半身像で表された彼は顔を前方に向け、精気の漲る頭部を静止させている。胸には、飾りが下がっている幅広の金の鎖を着けている。いくぶん暗い画面下部には、剣の輝く柄とカフスの白い点が見える[5]。彼の貴族的な左手は、ゆったりと手すりに置かれている[6]。窓は風景を垣間見せているが、それは画家が若い時期に採用した形式である[1]。この風景は拍車の領地であろうか[4]。遠景では、日没前の最後の光が幅広い滝を一瞬照らしている。窓の端に画家の名前が「Titianus」と署名されている[7]

制昨年

ゲオルク・グロナウ(フランス語版、イタリア語版)によれば、本作は様式的に1540-1543年にティツィアーノが描いた作品と非常に類似しており、その時期の制作とされなければならない[3]。ブレラ美術館は、制作年を少し早い1535-1540年としている[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h “Portrait of Count Antonio Porcia and Brugnera”. ブレラ美術館公式サイト (英語). 2023年12月5日閲覧。
  2. ^ a b ブレラ 絵画館全作品ガイド 1997年、35頁。
  3. ^ a b Gronau 1904, p. 293.
  4. ^ a b 『週刊世界の美術館 No.67 ブレラ美術館』、2001年 15頁。
  5. ^ Gronau 1904, p. 130.
  6. ^ Gronau 1904, pp. 130–131.
  7. ^ Ricketts 1910, p. 183.

参考文献

  • 『ブレラ 絵画館全作品ガイド』、SCALA、1977年 ISBN 978-888117680-9
  • 千足伸行監修『週刊世界の美術館 No.67 ブレラ美術館』、講談社、2001年6月刊行
  • Gronau, Georg (1904). Titian. London: Duckworth and Co; New York: Charles Scribner's Sons. pp. 130–131, 293.
  • Ricketts, Charles (1910). Titian. London: Methuen & Co. Ltd. p. 183, plate xcvi.
  • "Portrait of Count Antonio Porcia and Brugnera". Pinacoteca di Brera. Retrieved 10 March 2023.

外部リンク

  • ブレラ美術館公式サイト、ティツィアーノ『アントニオ・ディ・ポルチア・エ・ブルニェーラ伯爵の肖像』 (英語)
世俗画
肖像画
宗教画
  • 聖母子とパドヴァの聖アントニウス、聖ロクス』(1508年頃)
  • 『十字架を担うキリスト』(1510年頃)
  • 聖家族と羊飼い』(1510年頃)
  • 新生児の奇蹟』(1511年)
  • ジプシーの聖母』(1511年頃)
  • 『キリストの洗礼』(1511年-1512年頃)
  • 『大天使ラファエルとトビアス』(1512年-1514年頃)
  • 『ノリ・メ・タンゲレ』(1514年頃)
  • サクランボの聖母』(1515年)
  • 『貢の銭』(1516年)
  • 聖母子と聖ドロテア、聖ゲオルギウス』(1516年–1518年頃)
  • 『聖母被昇天』(1516年–1518年頃)
  • 『受胎告知(トレヴィーゾ大聖堂)』(1520年頃)
  • 『キリストの埋葬(ルーヴル美術館)』(1520年頃)
  • アヴェロルディ家の祭壇画』(1520年–1522年)
  • ペーザロ家の祭壇画』(1519年–1526年頃)
  • 聖母子と聖カテリナと羊飼い』(1530年頃)
  • 『アルドブランディーニの聖母』(1532年頃)
  • 『悔悛するマグダラのマリア(パラティーナ美術館)』(1533年頃)
  • 『受胎告知(サン・ロッコ大同信会)』(1535年頃)
  • 『聖母の神殿奉献』(1534年-1538年頃)
  • シャッラの聖母』(1540年年頃)
  • 『洗礼者聖ヨハネ』(1540年-1542年頃)
  • 『荊冠のキリスト(ルーヴル美術館)』(1542年-1543年)
  • 『この人を見よ(ウィーン)』(1543年)
  • 『悔悛するマグダラのマリア(カポディモンテ美術館)』(1550年頃)
  • 『アダムとイヴ』(1550年頃)
  • 『ラ・グロリア(聖三位一体の礼拝)』(1551年-1554年)
  • 『聖ラウレンティウスの殉教』(1548年-1559年頃)
  • 『キリストの埋葬(プラド美術館)』(1559年)
  • 『ゲツセマネの祈り』(1558年-1562年頃)
  • 『受胎告知(サン・サルバドール教会)』(1559年-1564年頃)
  • アルベルティーニの聖母』(1560年–1565年頃)
  • 『悔悛するマグダラのマリア(エルミタージュ美術館)』(1565年頃)
  • 『聖マルガリタ』(1565年頃)
  • 『祝福するキリスト』(1570年頃)
  • 『荊冠のキリスト(ミュンヘン)』(1570年頃)
  • 『聖セバスティアヌス』(1570年-1572年)
  • スペインによって救済される宗教』(1572年-1575年)
  • 『ピエタ』(1575年-1576年)
関連項目
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