超音波接合

超音波接合(ちょうおんぱせつごう、Ultrasonic welding)とは、超音波による振動を接合対象に印加して接合する手法。

概要

従来の溶接では電流を流したり、加熱することにより、接合対象の融点まで加熱して接合していた。超音波接合では振動子で材料に超音波振動を印加して接合面が超音波振動によって互いに擦れ合うことで、酸化皮膜や吸着ガスなどの表面層の不純物を飛散させ、接合面に清浄な活性化した清浄な金属面が露出して加圧による塑性変形により固相状態で接合する[1][2]摩擦攪拌接合とは似ているものの、接合面の表面付近のみを振動で接合する。最近では、異種金属材料間でも超音波接合が可能であることが報告されており[3][4]、工業製品の小型化・軽量化を実現する強力なツールとなることが期待されている。

特徴

  • 固相接合なので互いの金属が溶融する温度までは上昇せず、母材溶融温度の35% - 50%程度の比較的低温での接合が可能なので材料の変性が少なく、局所的な領域に留まる[2]
  • 半田付けとは異なり、消耗品が不要。
  • 同種の素材間で接合する場合にはリサイクル時に異種素材の混入を抑えられる。

用途

超音波接合によって鉄鋼材料と軽金属の信頼性ある接合が安定して達成されれば、自動車産業や建築産業を含めた多くの分野の更なる発展が促進されると期待されている。金属間だけでなく、高分子セラミックのような素材や異種間の素材の接合にも使用される。

脚注

  1. ^ 超音波接合法の接合原理について教えて下さい。, http://www-it.jwes.or.jp/qa/details.jsp?pg_no=0080060080 
  2. ^ a b 超音波金属接合の原理, http://www.cosmo-stm.com/usmetal/about-us-metal-welding.html 
  3. ^ Hiromichi T. Fujii, Yuta Goto, Yutaka S. Sato, Hiroyuki Kokawa (2016). “Microstructure and lap shear strength of the weld interface in ultrasonic welding of Al alloy to stainless steel”. Scripta Materialia (Elsevier) Vol. 116: 135-138. https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1359646216300483 2018年5月8日閲覧。. 
  4. ^ C.Q. Zhang, J. D. Robson, P. B. Prangnell (2016). “Dissimilar ultrasonic spot welding of aerospace aluminum alloy AA2139 to titanium alloy TiAl6V4”. Journal of Materials Processing Technology (Elsevier) Vol. 231: 382-388. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0924013616300085 2019年7月4日閲覧。. 

参考文献

  • 松岡信一, 「セラミックス-金属の超音波接合 : その特性と評価」『日本機械学会論文集 C編』 1989年 55巻 517号 p.2481-2486, 日本機械学会, doi:10.1299/kikaic.55.2481
  • 安藤英一, 加川幸雄, 「超音波プラスチック溶着の有限要素シミュレーション」『日本音響学会誌』 1995年 51巻 6号 p.472-479, 日本音響学会, doi:10.20697/jasj.51.6_472

関連項目