I 魔術師:「魔術師」は「女教皇」の頭部に設置されている。これらは最初に造られた作品である。魔術師は、ニキにとって、世界を創造した神に相当するという[26]。イギリスの画家・ジャズミュージシャンのアラン・デイヴィー(英語版)が、「魔術師」の頭部内側の一部を描いている[13]。
II 女教皇:入口正面に巨大な「女教皇」がある。大きな口から水が流れ出て、手前の泉に注ぎ込む。泉にはジャン・ティンゲリー作の「運命の輪」(噴水のある動く機械)。「女教皇」は、ボマルツォの怪物公園(Parco dei Mostri)にある、口を大きく開けて目を剥いた怪物に着想を得て制作された作品であり、ニキの怪物公園へのオマージュである[1]。
XI 力:入口左手にある獰猛なドラゴンと、これを目に見えない糸で操る女性の像。ドラゴンは緑の鏡の破片で覆われている[25][34]。
XII 吊るされた男:「隠者」と同様に、主に青と黄色のフレームによって構成される。ニキは、T・S・エリオットが詩「荒地」で「吊るされた男」に言及していることに触れた後、吊るされて、世界を逆さまに見ているので、新しい見方・やり方を表わすとしている[35]。
XIII 死神:馬に跨った女性の死神。馬の足元に手足や奇妙な生き物のオブジェが置かれ、「死と再生」を表わしている[36]。
XIV 節制:「節制」は、礼拝堂である。当初は「吊るされた男」を収納する建物として構想されたが、1983年にティンゲリーが心臓の手術を受けたとき、ニキは手術が成功したら礼拝堂を建てようと決意した[11]。「情熱的な」彼女には、「節制」の意味がよくわからず、「妥協」や「中庸」のように思われたが、あるとき、「節制」とは「正義の道」であることがわかったという[37]。礼拝堂の上には、金のフレームによる翼のある青いナナ像が設置されている。
XV 悪魔:ニキは「悪魔」によって、一方で「精神の自由を失うこと」、他方で「生命力」や「セクシュアリティ」を表わしている[38]。頭部の黄金の角や両性具有的な表象、両脇の2体の人物像は、伝統的な寓意画によるものだが、鮮やかな多彩色の像である。
XVI バベルの塔:四角い銀色の塔に様々な形状の窓がはめ込まれている。タロットカードの寓意画と同様に、塔の先端が崩壊し、炎に相当するものが突出している。ニキはこれを「神の怒り」として表現している。突出部は、ティンゲリーの作品「エーオース」(ギリシア神話の暁の女神)である[10]。
XVII 星:右手と左手に持った2つの壺から水を注ぐ女性像。池の中央に全身に星がちりばめられた女性像があり、赤い壺から水がほとばしり出ている。ニキにとって「星」は、「完全な存在」であり、「心身の健全さ」である[39]。
XVIII 月:赤いザリガニが人面(女性の横顔)の月を掲げ、黄色と黒の犬がザリガニを支えている。ニキは、ポジティブな「想像力」とネガティブな「幻想」を表わす「月」は、「潮の満ち引き、女性の月経、出産、水に関するすべてのものに影響する」という[40]。
XIX 太陽:ニキは「太陽」をインドやメキシコの伝説に出てくるような鳥として表現している。鳥はニキの作品でしばしば使われるモチーフであり、ここでは、「太陽に最も近い生き物である」と説明している[41]。
XX 審判:墓から出てきた子供、男性または女性、老人の人間の3つの姿を表わした平面的な構成。ラッパを吹く天使は、この3つの姿が1つになるよう促しているのだという[42]。
XXI 世界:蛇が巻きついた金の卵の上に片足を上げて立つ女性。ニキは、ここに「世界の神秘とスフィンクスの答え」があるという[43]。
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