タフォニ

スコットランドスカイ島エルゴールのタフォニ。

タフォニTafoni)は、岩盤岩塊の表面に形成される風化穴である[1]

概要

円または楕円形をとるが拡大し、それらが連結すると複雑な形状となり、横に連なっていくと状の大きな窪みとなる[1]花崗岩[1]砂岩[1]凝灰岩[1]安山岩[1]礫岩[2]石灰岩[2]などに形成される。砂漠などの乾燥地域や、海水飛沫を受けやすい海岸地域にてその存在が広く知られている[2]が、内陸の山地域でも広く確認される[3]

タフォニは一般に、岩体内部より析出した塩類が、その結晶圧によって岩石表層部を破壊することによって形成されると考えられており[4]、ゆえに海水の飛沫を定常的に受ける海岸付近ではタフォニが発生しやすい[2]。山間部に形成されるタフォニについては過去の海進時に形成されたものであるとする説[2]台風時に海塩が供給されているとする説[2]、岩石中に含まれる黄鉄鉱が溶解し、石膏を析出することによるものであるとする説などが挙げられている[5]

語源は不明であるが古代ギリシア語で「墓碑」を意味する"Taphos"やコルシカ語シチリア語で「」を意味する"Taffoni"、「穴を開ける」という意味の"Tafonare"などに由来すると考えられている[6]。「タフォニ」の語が印刷物上で初めて用いられたのは1882年のことである[6][7]

急崖表面に凹凸を形成するタフォニは落石発生の重要な素因であり[4]、2002年には和歌山県でタフォニが形成されている急崖から約720トンの岩塊が落下し、ロックシェッドを直撃する事故が発生している[8]ほかインドエローラ石窟群カイラーサナータ石窟寺院(英語版)[9]マハーバリプラム海岸寺院(英語版)[10]アンコール遺跡タ・プローム[11]バイヨン[12]などではタフォニの形成による重篤な損傷が発生している。和歌山県東牟婁郡古座川町高池の虫喰岩[13]岡山県倉敷市下津井六口島象岩[14] はタフォニの持つ特異な景観を活かした景勝地である[13]

ギャラリー

出典

  1. ^ a b c d e f 池田(2002)、p.85。
  2. ^ a b c d e f 西山;横田(2010)、p.122。
  3. ^ 西山;横田(2010)、p.127。
  4. ^ a b 坂田;横田、p.193
  5. ^ 西山;横田(2004)、p.303。
  6. ^ a b Jon Boxerman. “Definition”. tafoni.com. 2017年1月1日閲覧。
  7. ^ ハンス・ロイシュ (1882) "Notes sur la géologie de la Corse" (コルシカ島の地質に関する覚書), Bulletin de la Société géologique de France, 3rd series, 11 : 53-67 ; see p. 65. From p. 65: "Le peuple appelle ces cavités, quand elles sont petites, des tafoni ; quand elles sont grandes, des grotte." (これらの空洞のうち小さいものはタフォニ、大きいものは洞穴と呼ばれる。)
  8. ^ 西山;横田など(2005)、p.45。
  9. ^ 池田(2002)、p.87。
  10. ^ 池田(2002)、p.88。
  11. ^ 池田(2005)、p.75。
  12. ^ 内田、p.11
  13. ^ a b 西山;横田など(2005)、p.46。
  14. ^ 藤田勝代(財団法人深田地質研究所)・横山俊治(高知大学). “9.地質遺産としての岡山県六口島の象岩 -花崗岩のラミネーションシーティング・未風化核岩・タフォニが造る造形美-”. 日本応用地質学会. 2017年1月1日閲覧。

参考文献

  • 池田碩 (2002), “インドの石造寺院に生じているTafoni風化と遺跡の破壊”, 奈良大学紀要 (奈良大学) (30): 83-96, 2002年3月, ISSN 03892204, https://ci.nii.ac.jp/naid/120002329347#article 
  • 西山 賢一; 横田 修一郎 (2010), “熊本県, 天草上島の古第三系砂岩に分布するタフォニの形状”, 応用地質 (一般社団法人 日本応用地質学会) 51 (3): 122-129, 2010年8月10日, ISSN 02867737, https://ci.nii.ac.jp/naid/10026569746#article 
  • 池田 碩 (2006), “カンボジア・アンコール石造寺院遺跡の風化破壊”, 奈良大学紀要 (奈良大学) (34): 65-78, 2006年3月, ISSN 0389-2204, https://ci.nii.ac.jp/naid/120002662248#article 
  • 内田 悦生 (2003), “アンコール遺跡(カンボジア)における砂岩材の劣化現象”, 地質学雑誌 (The Geological Society of Japan) 109 (6): XI-XII, 2003年, ISSN 0016-7630, https://ci.nii.ac.jp/naid/130003905391#article 
  • 西山 賢一; 横田 修一郎; 横山 勝三 (2004), “22.砂岩急崖におけるタフォニの成長と岩盤崩落(一般研究発表)(口頭発表)(2004年度春季研究発表会)”, 地形 (日本地形学連合) 25 (3), 2004年7月25日, ISSN 03891755, https://ci.nii.ac.jp/naid/110001269715#article 
  • 坂田 聖二; 横田 修一郎 (2005), “島根県大田市の岩石海岸におけるタフォニの発達と岩盤崩落(27.応用地質学一般)”, 日本地質学会学術大会講演要旨 (日本地質学会) 112, 2005年9月10日, https://ci.nii.ac.jp/naid/110004572413#article 

関連項目

  • 蜂の巣風化(英語版) ‐ 類似する風化の類型。
地球上の地形
山岳・平原地形
河川・河成地形
氷河・雪氷地形
海岸地形
海底地形
火山地形
風成地形
植生地形
人工地形
関連項目
  • 地理的特徴(英語版)
単位
地殻 > 基盤岩
岩石 > 砕屑物 >
シルト粘土
カテゴリ Category:地形
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